日本と海外の一流レストランの違いについて
最近名古屋が急激にグルメシティーとして脚光を浴びているようで、一流の料理に多く接することを提言している私としては、喜ばしい限りです。
海外(カナダ)中心の生活になってから、よく東京の有名な料理長の皆さんとお話する際、必ず尋ねられるのは、日本のレストランと海外のレストランの相違点です。
会話には、当然具体的な名店の名前や、有名シェフの名前も挙がるのですが、さてここでクエッション。私が長年世界の一流店で食事をしてきて、日本のレストランと最も違うと強く感じる所はどこだとお思いになりますか?
やっぱり本場の味ですか?映画俳優のような店長達ですか?まるでお抱え執事の如きマネージャーの洗練されたサービスですか?それともセンス抜群のインテリアですか?・・・いいえ違います。
・・・それは・・・「お客様」です!・・・これだけは、例えば私が海外で最も好きな街ニューヨークシティーの超一流のレストランを例に取ると、残念ながら、日本は足元にも及びません。これは将来の課題でしょう。
いくら破格の総工費を誇っても、高額なギャラのシェフを招いても、一流のお客様を、変な表現ですが連れてくる訳には行きません。
私が海外のレストランで食事をする時の一番の楽しみは、実は洗練されたマナーの一流のお客様と同じ空間に居る歓びに浸ることです。これだけはお金では買えません。そのお店は、そこに集うお客様の品位によって決まると信じています。
これは後日ミニエッセイでもご披露しますが、一例としてNYCを代表する名店Le Cirqueでの思い出をご紹介すると、私が訪れたのは丁度クリスマスということもあり、お客様達のそのファッションの素晴らしいことと言ったら、まるでハリウッド映画の一場面でした。食事中も大袈裟でなく、いつ後ろの方で、監督の「はいカット!」という声がするか分らない、本当にこれぞ美食の世界という感じでした。
また同じNYCの宝と言われる超有名なシェフのお店も行きましたが、その後突然の閉店で多くのファンをがっかりさせました。でもその後復活し、安堵のため息と共に出掛けたのですが、その閉店の理由をそれとなく聞かされ、大変複雑な気持ちになりました。
それは、余りにもお客のレベルが下がったから、とういうものでした。エンパイヤーステートビルや、自由の女神を見るのと同じ感覚で、ガイドブック片手に興味本位で来るお客が多くなったのでしょう。一流のレストランというものは、観光地ではありません。一生に一回行けば満足というものではないのです。
私がいつも思うのは、勿論自分も含めて、よりよいお客になる為の修行がぜったい必要である、ということです。そして、これこそが『美食道』の最高奥義でもあります。それには・・・指導者が不可欠です。
